歴史 の新書一覧

イギリス帝国 支配と残影

イギリス帝国 支配と残影

木畑洋一

岩波書店/2026-08-25

「陽の沈まぬ帝国」と呼ばれた,史上最大の植民地支配国イギリス.政治・経済の覇権国として現代世界に与えたその影響は計り知れない.前史となる北米大陸への植民からブレグジット,ガザ戦争までを射程に,統治に用いられる暴力の系譜,中心ー周縁の非対称的な支配構造,帝国解体後なお各地に残り続けるその影を描ききる.

「逆賊」小栗の言い分

「逆賊」小栗の言い分

岳 真也

ワニプラス/2026-08-24

『吉良の言い分』『紫式部の言い分』など多くの歴史小説を世に送り出してきた作家、岳真也が、2027年の大河ドラマの主人公、小栗上野介忠順の波乱に満ちた生涯を描く。従来、陽の目が当たらなかった言わば不遇の人物にスポットライトを当ててきた著者の真骨頂とも言える作品『小栗忠順』(作品社)を、加筆修正のうえ新書判・2分冊で刊行する。「修羅を生きる 篇」はその前編で、遣米使節目付としての訪米の帰国直後から、幕府の勘定奉行と軍艦奉行を兼務して造船所建設計画に関わるまでが描かれる。はたして、「逆賊」を呼ばれた小栗の言い分とは? 発売:ワニブックス 発行:ワニ・プラス

世界一わかりやすい 日本の農業の教科書

世界一わかりやすい 日本の農業の教科書

鈴木宣弘

平凡社/2026-08-13

日本の農業の「歴史」からおさえておきたい現代農業の「基礎知識」など、日本の農業について基礎から学びたい人向けの一冊!

名人論

名人論

谷川浩司

PHP研究所/2026-08-12

将棋界において「名人」は、単なるタイトルではない。その歴史は1612年、徳川家康が初代大橋宗桂に俸禄を与えたことに始まり、四百年以上にわたって受け継がれてきた将棋界最高の称号である。現代では竜王と並ぶ最高位とされるが、その重みは賞金や序列では測れない。名人とは何か。その称号を背負う者に求められるものとは何かーー。本書は十七世名人・谷川浩司が、自らの名人戦の経験を軸に、江戸時代から現代まで続く「名人」の歴史と本質をたどる一冊である。将棋はどこから日本へ伝わり、なぜ現在のような独自の競技へと発展したのか。家元制度の誕生、将軍家の御城将棋、命を削るように名人を争った若き天才・大橋宗銀と伊藤印達の五十七番勝負、詰将棋を芸術の域へ押し上げた伊藤宗看・看寿の偉業ーー。歴史の知られざるドラマをひもときながら、「名人」という言葉が持つ意味を掘り下げていく。さらに、大山康晴十五世名人、羽生善治十九世名人、そして藤井聡太名人へと受け継がれる天才たちの系譜を、同じ名人経験者だからこそ見える視点で読み解く。勝負師たちは何を考え、どのような資質によって頂点へ到達したのか。思考力、直感、気力、そして時代への適応力ーー名人たちに共通する条件が浮かび上がる。終盤では、AIが人間を超えた現代における将棋の価値にも踏み込む。最善手を示すAIが存在する時代に、人間が将棋を指し続ける意味とは何か。名人という存在はこれからどのような価値を持ち続けるのか。将棋界が直面する根源的な問いにも真正面から向き合う。将棋ファンはもちろん、日本文化や歴史、そして「一流とは何か」を考えたいすべての人へ。四百年にわたる名人の歴史を通して、勝負の本質と人間の知性を描き出す、かつてない「名人論」である。 【PHP研究所】

宇野千代

宇野千代

刑部 芳則

NHK出版/2026-08-10

昭和史を彩った生涯を描く、時代・風俗考証の第一人者による決定版評伝! 明治、大正、昭和、平成と四つの時代を生きた宇野千代(1897-1996)。その生涯は戦争を挟み、日本人の生活感覚が大きな転換を遂げた時期と重なっている。尾崎士郎や東郷青児、北原武夫らとの華やかな恋愛遍歴が注目される一方で、私小説に描かれなかった実像にはこれまで光が当たってこなかった。 雑誌『スタイル』の編集や手がけた着物のデザイン、そして生涯を通じて書き続けた作品を貫く「昭和モダニズム」の美意識とは何か。和から洋へと移り変わる日本人の価値観に、いかに影響を与えたのか。 近代日本の生活文化に精通する歴史学者が、膨大な史料を精査し、素顔の宇野千代に迫る。 関連年表・著作一覧付きの、朝ドラ「ブラッサム」モデルの決定版評伝! ■作家デビューから尾崎士郎との出会いの真相 ■小説から服飾デザインまでを貫くモダンな美意識はいかに育まれたか ■『スタイル』は「日本初のファッション誌」ではなかった? その真の独自性を徹底検証 ■和から洋へ変化する戦後の価値観に宇野千代が与えた影響とは 目次 第一章 岩国の海老茶式部 第二章 文士たちのモダンライフ 第三章 昭和モダニズムと戦争 第四章 焼け跡からの再生 第五章 昭和の終わりとモダニズムのゆくえ 第一章 岩国の海老茶式部 第二章 文士たちのモダンライフ 第三章 昭和モダニズムと戦争 第四章 焼け跡からの再生 第五章 昭和の終わりとモダニズムのゆくえ

世界をつくった奴隷の歴史

世界をつくった奴隷の歴史

布留川正博

筑摩書房/2026-08-06

世界史の裏側はこんなにも暗いーー アフリカから一二〇〇万もの黒人が強制連行され売買された大西洋奴隷貿易。ほかにも古代ローマ、イスラーム世界、ブラジルやアメリカ、中国、そして日本を含め、あらゆる文明において奴隷制が存在した。歴史上、奴隷制は一八八八年を最後に廃止されたが、今でも多くの地域に自由を奪われた人々がいる。世界史は、惨たらしい扱いを受けた貧しい奴隷たちの歴史と共に形づくられてきた。強制労働、虐待、性的搾取ーー隠された支配と抵抗の痕跡を辿り、いまなお続く人類史の欺瞞を暴く。 === 【目次】 はじめに 森鴎外『山椒大夫』/奴隷となった安寿と厨子王/厨子王の逃亡/奴隷とは/いま奴隷制を考えることの意味/本書の構成 第一章 古代ローマの奴隷制ーー本格的奴隷制のはじまり 本格的奴隷制のはじまり/古代ローマの政治体制/ローマの軍隊/ポエニ戦争/ローマの支配拡大と奴隷の流入/グラックス兄弟の改革/シチリアにおける奴隷叛乱/剣闘士奴隷スパルタクスの苦悩/スパルタクスの叛乱/カエサルの『ガリア戦記』/家内奴隷/女性の奴隷と解放奴隷/エリート奴隷の存在 第二章 イスラーム世界の奴隷制ーー文明を越えて イスラーム教の誕生/イスラーム世界の拡大と奴隷制/主人と奴隷との関係/アッバース朝カリフとその腹心/黒人奴隷ザンジュの叛乱/奴隷購入のルート/マムルーク/中央アジアのトルコ人/マムルーク朝の誕生/女性奴隷の立場/ハレムと宦官、奴隷少年/サトウキビと砂糖/イスラーム文明とヨーロッパ文明の交流 第三章 ブラジルにおける奴隷制ーー砂糖プランテーションの形成 地中海から大西洋へ/イタリア人の役割/大西洋奴隷貿易の始まり/コロンブスの「新世界」発見/先住民インディオの人口崩壊/アシエント奴隷貿易/ブラジルの発見とパウ・ブラジル貿易/カピタニア制の導入と砂糖プランテーション/先住民の叛乱/総督制のもとでの先住民の奴隷化/黒人奴隷制への移行/砂糖革命 第四章 アメリカ合衆国南部における奴隷制ーー綿花プランテーションの発展 チェサピーク湾沿岸のタバコプランテーション/米作・藍作プランテーション/イギリス綿工業の発展/アメリカ合衆国南部の綿花プランテーションの拡大/「奴隷飼育業」と奴隷制の拡大/奴隷叛乱と解放への道 第五章 中国の宦官ーー皇帝と臣民の媒介者 中国の奴隷制/いかにして宦官となるか/皇帝と宦官の密接な結びつき/明の宦官/鄭和の海外遠征/宦官の学校と王振/究極の奴隷 第六章 日本の奴隷制ーー奴婢から「からゆきさん」まで 奴婢/寛喜の大飢饉と人身売買/倭寇による人間の略奪/戦国時代における乱取り/豊臣時代の日本人奴隷/日本人奴隷とポルトガル商人/ガスパール・フェルナンデス・ハポンの事例/からゆきさん 第七章 現代の奴隷制ーー解放されない人びと 現代の新奴隷制/スィリという少女/コートジボワールのカカオ農園/ブラジルの奴隷制撲滅国家計画/児童婚のリアル/現代奴隷法 終章 世界史のなかの奴隷制 奴隷は商品か/奴隷解放の意味/世界史のなかの奴隷制/尊厳をとりもどすための闘い あとがき

千利休と戦国武将

千利休と戦国武将

本郷和人

祥伝社/2026-08-03

利休が辞世で示したもの 茶道の大成者として知られる千利休。しかし利休は、美の価値を創造した当代随一の文化人であるだけでなく、豊臣秀吉政権において豊臣秀長と共に重きをなす存在でもあった。具体的には、秀吉と戦国武将たちの間を調整する申次(第九・十章参照)を行った。本書では、利休と茶の湯を通して、天下人および戦国武将の内面に迫り、戦国時代を俯瞰する。また、これまで茶人や学者が解釈を試みてきた利休の辞世ーー後世日本人の価値観に影響を与えたーーに対して、著者ならではの視点で解説する。はたして、利休は何を伝えたかったのか。利休以後の世界に生きる私たちが、それ以前の価値観に触れることができる1冊。 ※本書は、月刊「なごみ」(淡交社)に連載された「利休の時代」(2013年1月号〜12月号。現在は終了)を再構成して加筆修正し、新章・新原稿を加えたものです。 (以下、目次) 第一章  千利休の前半生は謎だらけ 第二章  利休以前の茶 第三章  勇将の遺言状 第四章  滝川一益の嘆き 第五章  立花〓千代と宗茂 第六章  織田信長という圧倒的な個性 第七章  利休と権力者たち 第八章  公儀と内々 第九章  「申し次ぐ」ということ 第十章  伊達政宗の絶交状 第十一章 政宗と秀吉 第十二章 豊臣秀次切腹事件と利休 第十三章 上方の武士、田舎の武士 第十四章 利休に学んだ大名たち 第十五章 前田家と祖心尼

増補版 嘘だらけの日米近現代史

増補版 嘘だらけの日米近現代史

倉山満

扶桑社/2026-08-01

トランプ再来で揺れる世界を見通すための、日米近現代史 アメリカという国を、われわれ日本人はどう考えればいいのか。好きか嫌いか、親米か反米かーー。そんな単純な二分法では、日米関係の本質は見えてこない。アメリカは、日本にとって切っても切れない存在である。安全保障、外交、経済、そして戦後日本のあり方まで、アメリカとの関係を抜きにして語ることはできない。にもかかわらず、日本人は意外なほどアメリカのことを知らない。 建国神話、ワシントン、モンロー主義、リンカーン、ペリー来航、日米の蜜月、二つの世界大戦、GHQ、朝鮮戦争、冷戦、湾岸戦争、ブッシュ、クリントン、オバマーー。日本人が学校で習い、何となく信じている「アメリカ史」「日米関係史」は、どこまで本当なのか。 本書が描くのは、極端に美化されたアメリカでも、悪魔化されたアメリカでもない。「バカ」「ヘタレ」「でも、やるときはやる」ーーこの三つの視点から、アメリカという国の行動原理と歴史のパターンを読み解き、日本人の対米コンプレックスを解きほぐしていく。 アメリカは最初から世界最強の大国だったわけではない。むしろ、その歴史は、弱さ、失敗、強烈な自己正当化、そしていざというときの底力の積み重ねでもあった。だからこそ、アメリカの「建前」ではなく「本音」と「癖」を知ることが、日本の外交と安全保障を考えるうえで欠かせない。 増補版では、トランプ再来で揺れる世界を見通すための新章を追加。アメリカは再びどこへ向かうのか。そして日本は、そのアメリカとどう向き合うべきなのか。その歴史を知らずに、日米関係は語れない。倉山満が近現代史から現在を読み解く、「嘘だらけ」シリーズの増補決定版。

シリーズ日本近世史 1 戦国乱世から太平の世へ

シリーズ日本近世史 1 戦国乱世から太平の世へ

藤井讓治

岩波書店/2026-07-25

信長入京前夜から,秀吉・家康の時代を経て,家光の死去まで,約100年の通史をたどる.「天下」をめぐる争いとして描かれることの多い時代.だが改めて,当時,「天下」とは,「戦国」「乱世」「太平」とは,何だったのか? 徹底した史料の読み込みから近世の〈実像〉を語る,待望のシリーズ第1巻!

シリーズ日本近世史 2 村 百姓たちの近世

シリーズ日本近世史 2 村 百姓たちの近世

水本邦彦

岩波書店/2026-07-25

古くさい因習の共同体とイメージされがちな近世の村社会.だがこの時代,百姓たちは主な生産力の担い手であり,互いに支え合いながら田畑を切り拓いて耕し,掟を定めて秩序を保ち,時には国家権力にさえ物申す存在だった──.活力あふれる村の生活を丹念に追うことから近世日本に新たな光を当てる,画期的な一書.

シリーズ日本近世史 3 天下泰平の時代

シリーズ日本近世史 3 天下泰平の時代

高埜利彦

岩波書店/2026-07-25

戦乱止み,文化の花開く泰平の世へ.家綱・綱吉から吉宗を経て家治まで,17世紀半ばからの百年余をみる.安定には安定のための仕組みがある.武威重視の価値観を転換する,どのような政策が打ち出されたのか.新田開発や流通網の整備,歌舞伎・相撲などの娯楽の広がり,朝鮮や琉球との往来など,躍動する時代を存分に描く.[全5巻]

軍都を歩く 基地と住民の地域生活史

軍都を歩く 基地と住民の地域生活史

清水亮

中央公論新社/2026-07-23

軍事施設が置かれた街・軍都。 東京から徐々に郊外、地方へと列島各地へ拡散した。 軍隊は地域に被害と便益をもたらすが、本書は善悪を超え、身近に基地がある日常の複雑な現実を生活者の目線から描く。 下宿先との親交、料亭での大騒ぎ、弾丸を拾う子ども…… 当時の記憶は、戦後の自衛隊誘致やまちづくりにつながる。 藤沢、新宿大久保、霞ヶ浦から呉・江田島、南西諸島まで。 学術研究の上に現地取材を加え、現代社会を照らす歴史まちあるき。 はじめにー列島津々浦々に軍都あり 序章 軍用地の分散化の近現代素描 旧城郭の軍都/郊外に拡大する多様な軍用地/「新型軍都」の建設/地方軍用地の戦中戦後の連続性/自衛隊のアウトリーチ/経済成長と補償型政治/分散化の帰結/基地を受容する文化/まちかどの地域生活史 第一章 湘南海岸に眠る海軍と米軍の記憶〈神奈川県藤沢市辻堂〉 地図に見出す旧軍用地/横須賀海軍砲術学校の演習場/民家への分宿/利益を伴う交流/藤沢の軍都化/幻の東京侵攻作戦/SFCで米軍を迎撃/旧軍用地の開拓/米軍演習場チガサキ・ビーチへ/大惨事となった駅の爆発事故/冷戦下の上陸訓練/不発弾暴発による子どもの犠牲/高まる返還運動/背景としての住宅地化/湘南はマイアミに、米軍基地は沖縄に/基地県としての神奈川 コラム・歴史の歩き方1 街の歴史調査インフラを活用する 第二章 公園化する演習場〈軍都東京・新宿戸山ヶ原〉 軍都新宿の群像劇/皇居周辺から西への分散/演習場は遊び場/屋内射撃場/怪人二十面相の隠れ家/子どもたちにとっての戸山ヶ原/不気味な科学研究所/軍人の街/東京名所/軍用地が自然を残す逆説/文人が愛した戸山ヶ原/空襲から逃げる/避難場所としての演習場/現在の戸山を歩く/演奏場から演劇場へ/戦後も遊び場に/まちかどに残る痕跡 コラム・歴史の歩き方2 生の声と文字の声を聴く 第三章 「空都」と自衛隊のスペクタクル〈茨城県・霞ヶ浦〉 土浦市の飲食店に残る歴史/飛行場建設業者/飛行機と花火のスペクタクル/国際交流さかんな「空の港」/航空隊は観光地/歓楽街の今昔/「海軍さん」の「芋掘り」/「空都」の英雄礼讃/戦争下の花火大会/軍隊による水害救援/屏風に描かれた等身大の心情/占領期の秘話/「空都」から学都へ/自衛隊誘致による復興への期待/御用商人と軍艦マーチ/自衛隊のパレード/埋没する経済効果/戦後も水害救援 コラム・歴史の歩き方3 自転車で土地の歴史をつかむ 第四章 旧軍都の平和都市と海軍・自衛隊の街〈広島・呉・江田島〉 歴史の最先端としての現在/広島の隣町には自衛隊/軍都広島の郷土部隊/ヒロシマの自衛隊パレード/軍港観光地・呉/市・商工会議所・自衛隊の三位一体/「平和産業港湾都市」か「軍港」か/製鉄所跡地を防衛拠点に/南西シフトとの関連/海軍・海自の町を歩く/江田島の海軍兵学校生徒/倶楽部とは何か/家につまった思い出/蜜柑と子馬/「下宿あります」ー戦後も続く交流/軍人と御用商人の娘の結婚 コラム・歴史の歩き方4 軍用地をつなぐ道ー国道一六号線・国道五八号線 第五章 過疎化のなかの自衛隊誘致〈沖縄県八重山・与那国島〉 南西シフトの現場/台湾が見える日本最西端の島/巨大墓/空襲/マラリア被害/各集落の真新しい官舎/密貿易の繁栄から過疎化へ/国際交流と自衛隊誘致/自衛隊=企業論/住民投票/賛否の背後にある声/配備後の細やかな配慮/コミュニティ活動の担い手/移住者としての自衛隊員/日米共同訓練/ミサイル配備計画の衝撃/島外避難計画 コラム・歴史の歩き方5 碑を読み解く 終章 歴史のフィールドワーク ギャップに驚く/日常の空気感に分け入る/軍事化と都市化/見慣れたものと不気味なもの/身体知としての歴史/街を歩いて歴史に浸る

三笠宮ー昭和天皇末弟の近現代史

三笠宮ー昭和天皇末弟の近現代史

舟橋正真

中央公論新社/2026-07-23

昭和天皇の14歳下に生まれた三笠宮崇仁親王。陸軍参謀として南京に派遣され弟で唯一、戦場を体験し「聖戦」の実態を厳しく批判した。 戦後の象徴天皇制下、東京大学で歴史を学び、実証史学の立場から積極的に発言。建国記念日制定=紀元節復活に反対を唱え「赤い宮様」と称された。 他方で皇族で唯一宮家を維持・拡大させ、昭和天皇、明仁天皇を補佐、戦後の天皇家のあり方を模索・定着させていく。 本書は、三笠宮の軌跡を追うと同時に、皇族の存在とは何かを描く。

年貢 せめぎ合う江戸時代の領主と百姓

年貢 せめぎ合う江戸時代の領主と百姓

渡辺尚志

中央公論新社/2026-07-23

電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 江戸時代、税の中核は年貢だった。 大名領が石高で表されるように、年貢は社会全体のありようまで規定していた。 だが、その実体はあまり知られていない。 検地によって面積と地味を定め、毎年の検見で作柄を調査し、負担額が決まる。 いつ払うか、貨幣で払うか現物で払うか、どこに納めるか等にも細かな規程があった。 一方で領主・百姓双方の思惑によって丁々発止の交渉が繰り返された。 年貢の成立から終焉までを巨細に解説する。 ■□■目次■□■ はじめに 第一章 古代から豊臣政権期までの年貢 第1節 年貢の始まりから戦国時代まで 年貢の始まり/中世の百姓はなぜ年貢を納めたのか/戦国大名の検地と年貢/村による年貢請負 第2節 豊臣政権期の検地と年貢徴収 太閤検地/検地の実際/豊臣政権の年貢徴収法 第二章 江戸時代の年貢 第1節 年貢の意味と検地・石高制 年貢は税か地代か/江戸時代の検地/検地の用具と方法/石高と石高制/石高が年貢高から生産高へ 第2節 年貢の取り方 年貢の負担/厘取法と反取法/畝引検見と有毛検見/定免法への転換/年貢のあり方の時期的変化 第3節 年貢以外のさまざまな負担 多様な負担/漁村の貢租 第三章 領主からみた年貢 第1節 幕府領の場合 幕府領の年貢/幕府領の石高・年貢収入・年貢率の推移/一八世紀半ば以降の状況/一九世紀(江戸時代後期)の状況 第2節 大名領の場合 長州藩(萩藩)/熊本藩など/民政軽視の傾向 第3節 旗本領の場合 旗本領の年貢/年貢の地払い/年貢に代わる上納金の賦課/武左衛門の得た特権/先納による年貢の変質/村々による勝手賄 第四章 百姓からみた年貢 第1節 江戸時代の村と百姓 江戸時代の村とは?/村の住民/村の仕組み/村行政と教育・医療・セイフティネット/江戸時代特有の金融慣行 第2節 年貢を数字でみる 農業生産力の発展/一反当たり収穫量の増加/百姓にとっての年貢の重さ 第五章 年貢の賦課から上納まで 第1節 村における年貢の割付と徴収 村請制の意義/村に年貢割付状がやってくる/納付証明書に当たる年貢皆済目録/百姓各戸への年貢の割り付け方/村の蔵/重層する年貢請負 第2節 江戸への年貢米輸送 幕府領の年貢米輸送と村々の連合/主張する惣代庄屋たち/東北から江戸への年貢米輸送/買納の基準米価をいくらにするか/全国の納惣代の連携/廻米をめぐる百姓と武士 第六章 年貢をめぐる対立 第1節 百姓一揆と年貢 百姓一揆が起こる/前橋藩領の百姓一揆 第2節 村請制と村方騒動 百姓が定免法を求める/個々の百姓の年貢額は村が確定する/名主と百姓の納得ずくの年貢勘定/村方騒動が起こる/一つの村から全国を見渡す 第七章 年貢の矛盾が深まる 第1節 領主の理念と村の対応 年貢と村入用ーー信濃国高島藩領からみる/高島藩の年貢徴収法/徳帳仕法の特徴/村請制と公私分離/村入用と歩割仕法/歩割仕法の特徴/藩の意図と村の抵抗/表と内所、公と私 第2節 米相場がもたらすトラブル 松前藩領の酒田買替米/酒田買替米をめぐるトラブル/村役人と小前の対立/酒田買替米が教えること 第3節 村方騒動から百姓一揆へ 観音寺村の村方騒動/続く村内トラブル/百姓一揆と検地帳の破棄 終章 年貢から地租へ 地租改正と年貢の終焉/年貢とは何だったのか 注 参考文献

世界史の日本史

世界史の日本史

岡崎勝世

講談社/2026-07-22

世界史教育の変遷から近代日本の歩みを描く一冊! 明治初期、「アダムとイブ」はどう記述されたか。 欧米の「人種主義」にいかに対峙したか。 帝国主義化は東洋史の記述をいかに変えたか。 なぜ戦後に西洋史の普遍性を強調したのか。 明治維新、戦争、グローバル化ーー。世界史教科書は各時代の影響を受けながらどのように変わってきたのか。 ロングセラー『聖書vs.世界史』の著者による決定版! 筆者が属する世代は、元来、日本の「世界史」及びその世界史像に対しては強い関心を持たざるを得ない環境の下で過ごしてきた。というのも、戦中派の最後に当たる私たちの世代は否応なしに世界史像の転換に立ち会わされた世代だからである。筆者の場合、高等学校や大学生時代には戦後歴史学が強い影響力を有していたなかで学び、大学院生時代には非常勤講師として世界史を教えたが、その末期に文化圏型世界史への転換という衝撃を経験している。やがて私が大学の講義では西欧における世界史記述の歩みをテーマとするようになったのも、この体験が糸を引いていたと言えるだろう。ーー「おわりに」より

戦国史のミカタ

戦国史のミカタ

本郷和人

祥伝社/2026-07-22

見方を変えることで、見えてくるもの 日本史における激動の時代であり、人物が躍動した戦国期を、 「合戦」「天下人」「家康の家臣操縦術」「戦国女性」の4テーマに分け、 著者独自のミカタ(見方)で読み解いていく。 たとえばーー織田信長は、命をかけて死に立ち向かった者だけを認めた。 どんなに有能でも、戦場で成果を残せなかった者、戦死してしまった者は 「こっち側」に来られなかった者として認めなかった。ここに、信長の死生観と 家臣評価の特徴がある。いっぽう、豊臣秀吉の家臣評価は文官優位。 武将といえどもデスクワークができない者は評価しなかったーー。 見方を変えると、新たなおもしろさが発見できる! 本書は、産経新聞の連載「本郷和人の日本史ナナメ読み」 (2023年1月5日〜2024年3月14日。現在は終了)を テーマごとに再構成して加筆修正し、新章・新原稿を加えたものです。 (以下、目次より) ●それほど兵力差はなかった!? 桶狭間の戦い ●羽柴秀吉の機動力〜中国大返しと美濃大返し ●関ヶ原の戦いの本質〜石田三成の幻の防衛ライン ●秀吉の親族、その盛衰 ●豊臣秀長ありせば…… ●なぜ家康は天下を取れたのか ●家康の信仰〜「東照」と「日光」の謎 ●石川数正の出奔、本当の理由 ●南光坊天海の謎 ●四天王・本多忠勝〜単なる軍事指揮官に非ず ●四天王・酒井忠次〜二つの酒井家 ●平岩親吉〜家康が育んだ友情 ●立花ギン千代〜女城主、かつ名将の妻 ●細川ガラシャ〜その行為は自殺か、否か? ●山内一豊の妻〜出世する家庭の共通項 第一章 合戦 第二章 天下人 第三章 家康の家臣操縦術 第四章 戦国女性

なぜ日本は米英中ソと戦ったのか

なぜ日本は米英中ソと戦ったのか

波多野澄雄

PHP研究所/2026-07-21

大東亜戦争の「失敗の本質」とは? 先の大戦は、太平洋での日米戦争だけを見ていても理解できない。中国大陸での日中戦争、東南アジアでの日英戦争、満州・千島列島などでの日ソ戦争、これらを複合的に捉える必要がある。日本が米英中ソという大国を敵に回してしまった背景には、日中戦争の終わらせ方に問題があったーー。終戦史研究の第一人者が、複合戦争としての大東亜戦争から日本の「失敗の本質」を読み解く。日本が陥った「4つの戦争」とは何だったのか? ●日中戦争:ゲリラ戦や謀略・和平工作が絡む泥沼戦 ●日米戦争:海空軍の戦力が問われる太平洋の島嶼戦 ●日英戦争:アジアの運命を変えた北ビルマの山岳戦 ●日ソ戦争:苦難の大逃避行を強いた大義なき満洲戦 【目次】●はじめに:なぜ「複合戦争」なのか ●第一章:日中戦争から日米戦争へ ●第二章:日中戦争から日英戦争へ ●第三章:日本の戦争計画ーーいかに収拾するか ●第四章:日米戦争ーー戦略と政略 ●第五章:ビルマ戦争ーー最後の日英戦争 ●第六章:後期日中戦争 ●第七章:日ソ戦争ーー終戦後の戦い ●終章:「複合戦争」の遺産 ●おわりに:戦争の「多面性」 【PHP研究所】

ヒロシマ、ナガサキ 隠された真実

ヒロシマ、ナガサキ 隠された真実

三山秀昭

文藝春秋/2026-07-17

戦後80年、あらためてファクトを問う  オバマ大統領が広島に歴史的な訪問をしてから10年。2024年には日本被団協がノーベル平和賞を受賞。ヒロシマ、ナガサキの悲劇については、すでに定説が確定したと思われてきた。ところが、実際はそうではないという。  たとえば、「広島は“軍都”だったから原爆が落とされた」とよく言われる。たしかに広島は第五師団の根拠地であり、日清戦争では大本営が置かれるなど、日本有数の軍都であった。だからといって、アメリカは広島を原爆投下地として選んだわけではない。そのことは、アメリカの公式資料にはっきりと書かれている。アメリカはできたばかりのこの新兵器(広島に落とされたウラン型の原爆は、長崎に落とされたプルトニウム型を違って、爆発実験すらしていない)がどのような効果を発揮するのか、きわめて慎重に観察しようとした。責任者のグローブス将軍が言うところの「実戦実験」であったのだ。そのための条件とは、軍都であることなどではなく、【1】これまで空襲されていない無傷の都市であること、【2】平野部であること、【3】人口密集地であること、【4】効果の測定が容易であること、【5】3マイルの外にも市街地が広がっていることーーなどであった。これらの条件にかなう最良の候補地(AA)は、京都と広島であった。軍都とはかけ離れた京都が最後まで候補地であったことからも、「広島は“軍都”だったから原爆が落とされた」わけではないことがわかる。  こうしたファクトの間違いについて、オバマ米大統領の広島訪問の仕掛け人の一人であった筆者が、あらためてチェックしたのが本書である。  たとえば、多くの人が「あの日、小倉がたまたま曇りだったから原爆は長崎に落とされた」と思っているが、はたしてそうか。  実際、当日の小倉の天気は晴れだった。では、なぜアメリカ軍は小倉への投下を断念したのか。米軍の機密公電記録には「some haze and heavy smoke」が原因であると記されている。「もやと濃い煙」ーーこれは、小倉にあった官営八幡製鉄所の工員たちがコールタールを燃やしてはった煙幕が主なる原因であったことを示している。つまり、曇りという自然現象ではなく、煙幕という人間の行為が、小倉を災厄から救い、代わりに長崎に悲劇をもたらしたのである。  このように、長く信じられてきた16の間違った理解、埋もれてきた事実、隠された真実、ユニークな都市伝説、不正確な言い伝えや誤解、曖昧なままにされている伝聞情報、タブーとされてきた領域、独り歩きする「推計値」などをファクトの視点から検証した、ヒロシマ、ナガサキ理解の決定版!

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