日本人の多くは、世界で一番読まれている本『聖書』を読んでいない。しかし実は、世界の思想や文学・美術・国際問題の源流は『聖書』にあった。現在の中東問題イランとイスラエルの対立も『旧約聖書』に端を発する。ベストセラー『英単語の語源図鑑』ほか語源学習の第一人者が、旧約聖書とユダヤ人の歴史を主軸に、英語やヘブライ語(聖書の原文)の語源にふれながら、世界を読み解く。日本人の9割が知らない世界の教養が身につく一冊。
文化 の新書一覧
2026年NHK連続テレビ小説『ブラッサム』のモデル・宇野千代。仕事や恋愛に情熱的に生きた98年の生涯から紡がれた名言集。
あなたの中には、「想像を超える叡智」が眠っている。本書は、深く考えるとは、「賢明なもう一人の自分と対話すること」と語る著者が、これまで誰も語らなかった5つの心理技法と32の随想を紹介。論理思考を超えた叡智が湧き上がる1冊。 (本書の主な内容)●誰の中にもいる「賢明なもう一人の自分」 ●我々の能力の発揮を妨げる「無意識の自己限定」 ●直観を閃かせる究極の技法 ●才能の開花を妨げる「迷信」 ●「明日、死ぬ」という修行 「実は、我々、誰の中にも、心の奥深くに、想像を超える賢さを持つ『もう一人の自分』がいる。我々の能力を分けるのは、そして、人生を分けるのは、その『賢明なもう一人の自分』の存在に気がつき、その自分との対話の方法を知っているか否かである」(本書「第一部 賢明なもう一人の自分」より) ※本書は、2018年2月に刊行された『深く考える力』に加筆・修正し、文庫化したものです。 【PHP研究所】
なぜあの人の文章は 最後まで読んでしまうのか? 大事なのは「わかりやすさ」よりも 「言葉の持ち味」 【芸風とは〈問題意識+着眼点〉×文体のこと!】 ロジカル、結論ファースト、言語化力。コスパ主義の今、正解とされる文章はこうした型にのっとれば誰だって書ける。 だが効率的な文章は、わかりやすさと引き換えに、書き手が本来持っている視点のクセ、思考が深まる過程、あるいは迷った痕跡といった「その人らしさ=〈芸風〉」を私たちから奪っている。 〈芸風〉があれば、あなたの書いたものは情報を伝えるだけでなく、人の記憶に残り、人を動かし、「なぜか最後まで読んでしまう」文章になる。 会社員と執筆業の二足の草鞋で活躍する批評家による、まったく新しい文章哲学。
世界最古の冒険叙事詩、『オデュッセイア』。知恵の英雄の奇想天外な放浪の旅路は、なぜひとびとを惹きつけるのか?その奥深い魅力と謎、張り巡らされた仕掛けを読み解く、入門書の決定版。 [目次] はじめに──長い帰還の物語 ・第一章 オデュッセウスという英雄 盲目の吟遊詩人、ホメロス/ 武力ではなく知恵の英雄/ 語り継がれるトロイ戦争伝承/ゼウスの双子たち/ 争いを招く女神の贈り物/ ギリシア最大の英雄、アキレウスの死/戦争終結と長い凱旋の始まり/ 普遍的な家族の神話/ 妻ペネロペイアと息子テレマコス/ 対比されるさまざまな「家族」 ・第二章 受難の旅と復讐の物語 二四巻の物語/ 旅の始まりと甘美な島/ キュクロプスとの決闘と海神の呪い/ 風の島、人食い巨人の島/ 魔女キルケと冥界下り/ 異形と神による相次ぐ受難/ ニンフの島への漂着/ ついに故郷へ帰還/ イタケ島での父と子の再会/ 求婚者たちを一掃、妻との再会/ ホメロスの超絶技巧 ・第三章 二四書の複雑な語り 二四の書、四一日間の出来事/ 第一書/ 第二書/ 第三書/ 第四書/ 第五書/ 三者の時間の流れ/ 第六書/ 第七書/ 第八書/ 第九書/ 第一〇書/ 第一一書/ 第一二書/ 前半と後半の折り返し/ 第一三書/ 第一四書/ 第一五書/ 第一六書/ 第一七書/ 第一八書/ 第一九書/ 第二〇書/ 第二一書/ 第二二書/ 第二三書/ 第二四書 ・第四章 構成の巧みな仕掛け 構造の妙の四要素/ 1.円環と反復││折り返し構造/『イリアス』の折り返し構造/安定と変化の技法/ 2.時間と空間の同時多元進行/ 嘘による異次元効果/ 3.四書ごとのかたまり/ 4.各書内部での折り返し構造/ さまざまな物語手法の元祖 ・第五章 物語としての魅力 主題の魅力/ ネガとポジ──愛人と求婚者たち/ トロイ側の家族/ 帰還後の物語──家族崩壊の危機/『テレゴノス物語』/ 英雄叙事詩にとっての家族/ 危険な冒険の魅力/英雄と武器/ 嘘と変装と大逆転劇/ 歴史を越える物語 ・第六章 ギリシアとインドに共通する叙事 『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』の関係/ 共通する話素/『オデュッセイア』と『ナラ王物語』/ 海と陸地に分かれた物語 ・第七章 世界各地への伝播 世界各地への伝播と影響/『アラビアン・ナイト(千一夜物語)』/ 「サイフ・アルムルークとバディーア・アルジャマールの物語」/ 日本への影響──『百合若大臣』/ 『御曹司島渡』/ 中央アジア英雄叙事詩への影響──『デデ・コルクトの書』/「アルパミシュ」/ どのように日本まで伝わったのか ・第八章 近代以降に見る系譜 近代以降の西洋文学への影響/ デフォー『ロビンソン・クルーソー』/「イムラヴァ」/スウィフト『ガリヴァー旅行記』/ ジョイス『ユリシーズ』/ 近代西洋における『オデュッセイア』の変容/ アーサー・C・クラーク原作+スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』/ ヴィットリオ・デ・シーカ監督『ひまわり』/ 世界中にインスピレーションを与える ・補章 現代日本の『オデュッセイア』的物語 沖田瑞穂 1.『オデュッセイア』と『ダンまち』/ 『ダンまち』とは/『ダンまち』のヘスティアと神話のアテナ/ オデュッセウスとベルの「旅」と誘惑/ 終着と自己の確立/ 2.『オデュッセイア』と『十二国記』/ 陽子とオデュッセウスの旅/ 家族への想い/「王位」の回復と獲得/ 3.『無職転生──異世界行ったら本気だす』における家族離散と旅/ 新しい帰属の形を探して おわりに──世界文学としての『オデュッセイア』 あとがき 沖田瑞穂 参考文献
畏れ気もなく恋の心情を綴った『みだれ髪』から陰翳深き後年の作まで,稀代の歌人・与謝野晶子のすごさと面白さはどこにあるのか.晶子は『源氏物語』の現代語訳や社会評論など,多方面に才能を開花させたが,何より詩歌こそが「生活の全的表現」であった.実作者ならではの視点からその歌と生涯を読み,「詩と真実」に迫る.
あなたが「本当に望んでいるもの」は何か? 心の底にはあなたも知らない”謎”がある! 内省ではたどり着けない、深い自己理解へーー。 フロイト、クライン、ラカン、河合隼雄…… 欲望と自己をめぐる壮大な「知の冒険」を、気鋭の哲学者が一望する! 「仕事仲間でも恋人でも友人でも、自分が選んできたはずのものが、自分に幸福を約束してくれるわけではない。それどころか、自分が大切にしてきたその相手こそが、自分を悩ませたり苦しめたりしていることさえある。ちょっとしたタイミングでその事実を突きつけられたとき、私たちは欲望をめぐる問いの前に立っているーー。 「自分が本当に望んでいるものは何か?」 本書を貫いているのも、まさにこの問いである。(中略)私たちの「自己」がどのように成り立っているのか、そしてその「自己」がどんなふうに作動するのか、それを深く掘り下げて考えることが、本書に与えられたミッションだ」(「はじめに」より) 【本書の構成】 はじめにーー心はいかにして発明されたか 第一章 催眠からの目覚め シャルコーからフロイトへ 第二章 エディプスコンプクレクスとその裏面 父殺しと母殺し 第三章 暗黒大陸の探索 女性分析家の登場 第四章 精神分析家の無意識とその機能 ビオンとウィニコット 第五章 ブダペストからパリへ ラカンの「フロイトへの回帰」 第六章 日本におけるユング受容の一段面 河合隼雄と村上春樹 おわりに 読書案内
本書を貫くのは、仏教とは何かという問いである。 仏教は、インドに生まれて以来、二五〇〇年にわたる歴史とアジア全域の諸文化に、きわめて深い足跡を刻みつつ、今日に至っている。 そのなかで、本書が「原始仏教」の名のもとに考察するのは、開祖ゴータマ・ブッダの生涯と教えであり、あわせて、今日ある仏教の多様な姿の淵源をそこにたどることである。 「はじめに」より 信徒数5億人を誇る世界宗教、その初期仏典にはある「仕掛け」があった。ブッダの描いた知られざるシナリオを解き明かす珠玉の仏教論! 【本書の内容】 第一部 原始仏教という射程 第1章 仏教の誕生 第2章 どのように初期仏典を読むべきか 第二部 ブッダの生涯と教え 第3章 誕生と出家 第4章 成道とその教え 第5章 成道から梵天勧請へ 第6章 初転法輪から初期伝道へ 第7章 サンガの成立と修行道の整備 第8章 存命中の主な出来事 第9章 入滅 第三部 仏滅後の仏教 第10章 入滅後の動向 第11章 部派分裂 十事の非法と大天の五事 第12章 仏教の多元性と連帯感 大乗仏教への道 終章 仏教とは何だったのか
かつて猫が大陸から船で海を渡って日本にやってきたのは、ネズミから仏教の経典などを守るためだった。その後猫は、日本人の穀物や蚕を守り、「猫絵」や「狛猫」が生まれるなど信仰の対象にもなる一方、人々の心も守ってきたと言える。さらに猫は、がん遺伝子の研究にも大きな貢献を果たしている。 本書では猫のルーツや生態、歴史を解説し、どのように猫に「恩返し」をしていくかを考える。 (第2章より)私は以前、犬も飼っていました。シェットランド・シープドッグのマミちゃんです。 犬のすばらしい長所の一つは、こちらの言葉や声、しぐさに素直に反応してくれることです。たとえば私が嘘泣きをしてみても、ちゃんと慰めてくれます。痛くもないのに「痛い、痛い」と言ってうずくまってみても、心配して飛んで来てくれるのです。実にありがたいものです。ただ、演技であることに気づいていないのか、それとも気づいたうえで付き合ってくれているのか、そのあたりはわかりません。 ところが、猫は違います。試しに、「痛い、痛い」と言いながらうずくまってみても、(飼い猫の)塩八はまったく反応しません。けれども、本当に痛くて苦しんでいるときは、様子を見に来る。これはとても不思議です。 もちろん、猫が人の心を見抜いているなどと簡単に断言するつもりはありません。しかし、言葉や声だけではなく、むしろ、空気の張りつめ方、呼吸の乱れ、身体の動きの重さ、いつもと違う沈黙の質、そういった状態の変化を、何かしら感じ取っているように思えるのです。 犬が言葉に強い動物だとすれば、猫は気配に強い動物なのではないか。私はそんな気がしています。
日本人にとって推し活はもはや一時の熱狂ではない。現代の推しは、私たちに「ハレの日」を与えてくれる一方で、「ケの日常」もまたともにあることを教えてくれる。それは、この社会に広く浸透した一つの文化なのだ。では、私たちはそんな推しと、どのように持続可能な関係性を築いていけるだろうか。「推し活」文化の源流から令和の最前線までをひもとき、ポスト消費社会における「推しの構造」を鮮やかに読み解く。
「死ぬという経験は、人生で一度しかできない」「病気のひとつも知らないと、人の心はヒダがなくなる」「人生には今しかない、寿命なんてものは結果にすぎない」「生死することにおいて、人は完全に平等である」「さて死んだのは誰なのか」──人生の根本にかかわる問題を常に日常の言葉で語り続けることで、哲学がすべての人のためのものであることを示した著者による、「死からはじめる哲学」の精髄がここに。
アートによって地域活性化を目指す地域芸術祭。その歴史をたどりつつ、課題と可能性から「地域芸術祭は誰のためのものか」を考える。
コミックマーケットはこうして始まった! 1975年に参加者700人で始まったコミックマーケットは、数多の表現を受け容れながら50年もの歴史を積み重ね、日本最大のイベントカルチャーへと成長を遂げました。同人誌即売会を代表する祭典として拡張してきたその歴史には、分裂、脅迫、コロナ禍など、存続危機に陥るような波乱も少なくありませんでした。それでも消えなかった灯を、誰が、どんな思いで守ってきたのでしょうか。本書では、共同代表からスタッフまで、有志たちの貴重な証言を集成! 半世紀に渡るコミケの“あのころ”を鮮やかに照らし出します。 *本書目次 はじめに 第1章 コミックマーケット50周年 寄稿コラム/藤本孝人 寄稿まんが/浪花愛 第2章 コミックマーケットの誕生 米澤英子・明石良信・安田かほる・松田道子 ◆フォトギャラリー1 第3章 コミックマーケットの黎明 筆谷芳行・荒井孝昭・里見直紀・ Dr.モロー・川原一晃・川上雅裕 寄稿まんが/Dr.モロー 寄稿まんが/新田真子 寄稿コラム/三崎尚人 寄稿まんが/高河ゆん 第4章 コミックマーケットの飛躍 市川孝一・及川晃一・牛島悦哉 ◆フォトギャラリー2 第5章 コミックマーケットの安心 石上佳孝・石上みゆき・千葉昌宏・川端清・勝又純俊 ◆フォトギャラリー3 第6章 コミックマーケットの仲間 横川俊・安田かほる・小人O安 寄稿まんが/横川俊 第7章 コミックマーケットの現場から 部署自慢編/ミラクル編/スタッフよもやま話編 先輩・後輩・同僚編/参加者・案内編/コスプレ編 スタッフの天国と地獄 第8章 コミックマーケットの『あのころ』 安田かほる・筆谷芳行・市川孝一 ボーナストラック あなたのコミケはどこから? ポスター・カタログ表紙 開催データ一覧 おわりに
弁論術の真髄を古代ローマに学ぶ 古代から現代まで連綿と受け継がれてきたリベラルアーツ・弁論術。西洋で長く話術の手本とされるこの伝統を現代日本で使えるものとして紹介するのが本書です。弁論のとくに「発想」に関わる《序言・叙述・区分・立証・反駁・結語》の規則を、弁論術の第一人者キケロの弁論家デビューから晩年に至るエピソードと実際に行った弁論を材料に実践的に学び、かつ教育現場での試みもおりまぜて「弁論とは何か」を考えていきます。表面的なスピーチ術では飽き足りない方に、2000年の歴史に裏付けられた生きた教養・弁論術のエッセンスをお伝えします。「スピーチするならローマ人がしたようにせよ」--それが本書のメッセージです。
チャーハンの歴史をたどれば、日本社会の「素顔」が見える! 国民食の一角にして、町中華の顔である「チャーハン」。当たり前の顔をして食卓に溶け込んでいるが、実は謎だらけの料理である。いつ日本にやってきたのか。いかにして、なぜ国民食となったのか。そもそも「チャーハン」とはどう定義されるべき料理なのか。本書ではそんな「チャーハンの謎」を徹底解明。チャーハンの歴史に取り組んだ初めての本になる。 本邦初、次々と明かされる新事実。チャーハンの敵は「豚臭さ」だった?! 洋風チャーハンの方が中国チャーハンより先だった?! 昭和30年代に巻き起こった「冷や飯論争」を解決したのはチャーハン?! 「パラパラ派」と「しっとり派」の飽くなき抗争の行方とは?! 「パラパラ」を言い出したのはだれ? 焼飯はチャーハンなのか、ピラフは? そして「炒めない」チャーハンも登場する現代、日本人はチャーハンに何を託すのか。 米粒大から覗き込んだ先に浮かび上がる、知られざる“日本人像”と等身大の“家庭料理史”。膨大な調査で、「米と油と日本人の150年史」を描く、愛と混沌のフードエンターテインメント! 【内容】 序章 身近なのに、謎を秘めた料理 第1章 中国料理店「3つのエポック」〜チャーハンと町中華の起源〜 第2章 マスメディアの形成と“大正の中国料理ブーム” 第3章 「主婦」の誕生 〜1900年のハムライス〜 第4章 『きょうの料理』と国民食になるチャーハン 第5章 「冷や飯論争」と「ピラフはチャーハンか?」問題 第6章 「男の料理」という呪縛 〜パラパラ論争としっとり派の逆襲〜 第7章 なぜわざわざ料理をするのか? 〜「炒めないチャーハン」の時代に〜 終章 米と油と日本人
自己の欲望と好奇心を どうするか? 「道」「平常心」「自力」とは── こころの解像度を上げる禅的思考の本質とは。 答はない、あるのは自己のみ。 理屈を超えた、命がけのことばのバトルを味わう。 唐代の『趙州録』から、11の禅問答を抜粋して解説。 本書に登場するキーワード ……平常心 自力 道 明暗 作為 是非 自由 目指さない 意識 無意識 聖者 凡夫 具体 抽象 自己陶冶…… 禅問答は、ことばを使っておこなう、地に足のついた禅僧同士の、ガチな対話の記録である。 唐代の名僧・趙州は、ことばで相手の基盤を揺さぶる達人で、師である南泉との問答には、「道」「平常心」「我欲」「自力」といった禅的思考の本質が凝縮されている。 決してわかりやすいものではないそれは、禅のスタート地点にあるもので、つまずきながら読み込む先に、おもしろさという値打ちがある。 この世で自力で生きていくためのヒントに満ちた11の問答を味わう一冊。 イラストレーション=越井隆 【目次】 まえがき 問答という対話のかたち/自己を言語化することの極み/他人とともにことばを使いあう/ことばの自己対象化のはたらき/禅問答とはいかなる問答か/AIに禅問答はできるだろうか/なぜ11の禅問答を読むのか 第1の問答 平常心がそれだ──なにも隠されていない 現実をありのままに認識する/ことばの意味を理解する/よく生きることを意識する/自由であることはむずかしい/こころを汚れに染まらせない/一切の意識をなくすべきなのか/目指さずして意識できるのか 第2の問答 言語化なくして明暗なし 言語化せずに答えられるのか/たれが打たれるべきだったのか/知覚し思考するところを言語化せよ/言語化しないのは甘えだ 第3の問答 なにが有ることを知っているのか 知るべきことを知っている/ウシはそれを知っているのか/異類はよく生きているのか/死んだらどこにゆくのか 第4の問答 火事だ!火事だ! 師と弟子とが火花を散らす/なにごとも自力でやるべし/なぜ鍵を投げ入れたのか/自力とは、自己とは…… 第5の問答 助けて!助けて! ただ助けるふりをするだけ/ちゃんと助けられている 第6の問答 命がけの一言をよこせ──しからずんば諦めよ ほんとうの本末転倒はなにか/本末転倒にもいろいろある/かさねがさねの筋ちがい/我欲をどうやって捨てるか/ヘタな有言は無言にひとしいのか 第7の問答 くやしい!くやしい! 「ことば」がやっていること/ことばは行動についてくる/ズバリと異類になってみせる/ほんとうに問いたったこと/生きることと言語化すること 第8の問答 手綱はもってきたか──それでも自己は捨てきれない その行為はみられている/主体性はどこへいったんだ/いまひとつ噛みあわない 第9の問答 理屈にかかずらうな──けれども言語化はサボれない 無言であることはゆるされない/理屈をはなれる仕方もいろいろある/ふたつの仕方のわかりかた/象徴とそれが象徴するもの/ことばで示さないでどうする 第10の問答 なんてこったい! どうして門を開けたのか/ことばは経験にささえられている/ことばは行為をあらわしている/禅問答という特殊空間 第11の問答 ことばは生きている──仏をもとめ、汚れを捨てよ 言語化する隙もあらばこそ/馬祖はなんといっているか/心はただちに仏でありうるか/仏に近づき、汚れを捨てる/「ありのまま」じゃいけない/自覚なくして成仏はない/ほかならぬ自己が成仏するのだ/熟した梅の実は落っこちる/ことばは生のなかに息づく あとがき 参考文献
古代帝国下で仏教を受け入れたチベットは,実践的修行と精緻な教理をともに発展させ,仏教に根ざした文化と社会を築いてきた.言葉を超えた直観的悟りを求める密教の体系,論理による真理の探究,他者を思いやる慈悲の教えは,今もなお私たちの心を惹きつける.その心髄を教義論争とチベット社会の諸相に探り,解き明かす.
戦後生まれで初の芥川賞作家となった中上健次(一九四六ー九二).「戦後」と「現代」の狭間を生きた中上は,高度経済成長のもとで(再)開発によって失われゆく路地を執拗に描き続けた.その作品群は変革とレジスタンスへのたゆまぬ意志で満ち溢れている.類まれな想像力で仮設された虚構の時空への,最良の道案内.