AI、ジェンダー、ポピュリズム、 パンデミック、薬物問題ーー 迷走する世界の課題を一望する 政治は人間のためのものであるにもかかわらず、かつては人の多様性をあまり考慮することなく論じられ、実践されていた。だが今や世界各国でジェンダーやマイノリティの存在が前提とされ、多様性を重視した制度設計や政策などが求められている。ジェンダー平等、福祉や財政をめぐる排外主義、政治の司法化、AI、パンデミックなど現代政治の諸問題に、世界各国はどう対処しているのか。各国の政治を丁寧に比較し、その根底を流れる政治の普遍性を考察していくシリーズ最終巻。 === 【目次】 序章 新たな政治の課題を考えるために(岩崎正洋) 第1章 ジェンダーをめぐる政治対立ーー右傾化する政治と平等への希求(三浦まり) 1 ジェンダー平等をめぐる政治対立 2 日本におけるバックラッシュ 3 反ジェンダー攻勢の世界潮流 4 右傾化する政治と保守女性政治家の役割 5 ジェンダー秩序を問い直す 第2章 女性政党の可能性ーー女性の政治代表性を高めるもう一つの挑戦(申キ榮) 1 女性政党とは何か、なぜ現れるのか 2 女性政党は何を代表するのかーー類型と争点 3 日本の生活者ネットワークーー女性政党の日本的実践 4 女性政党の意義と展望 第3章 女性の政治参画は何を変えるのかーーメキシコの事例(馬場香織) 1 女性の政治参画の比較政治学 2 実体的代表をめぐる実証研究の展開 3 メキシコにおける女性に対する暴力対策の事例 第4章 福祉国家はどこへ向かうのかーーポピュリズム時代の福祉と財政の政治(西岡晋) 1 ポピュリズム時代の福祉国家 2 なぜ福祉は批判されるのか 3 なぜ減税は支持されるのか 4 福祉国家はどこへ向かい、どこへ向かうべきか 第5章 政治権力としての裁判所ーー権力分立は生き残れるか(井関竜也) 1 政治権力としての司法 2 裁判官の行動原理 3 世論と司法 4 危機に晒される司法 第6章 フィリピンにおける違法薬物と民主主義(日下渉) 1 麻薬に依拠する民主主義 2 麻薬王の地方首長と大統領の麻薬戦争 3 麻薬をめぐって円環する民主主義 第7章 ロックダウンからの逃走(小松志朗) 1 封鎖する国、しない国 2 感染症対策のパラダイム転換 3 ロックダウンの国際比較 4 コロナ後の感染症対策 第8章 政治体制の差異がパンデミック対策にもたらす影響(安中進) 1 民主主義国家と権威主義国家 2 政治体制とコロナ死者数 3 政治的動機とデータ操作 4 民主主義国家日本のコロナ 第9章 AIは民主主義をどう変えようとしているのか(山本達也) 1 AIが揺さぶる民主主義社会の基盤 2 情報空間の変容と揺さぶられる民主主義への信頼 3 公共圏と「共有された現実」 4 AI倫理へのアプローチ 第10章 電子投票は復活するのか(岩崎正洋) 1 変わる選挙・代わる民主主義 2 電子投票とは何か 3 電子投票の実態と課題 4 電子投票とネット投票 コラム1 ジェンダー主流化の観点から議会を変革する(左高慎也) コラム2 LGBTをめぐる政治(日下渉) コラム3 福祉国家の「三つの世界」への招待(西岡晋) コラム4 難民の移動ルート(小松志朗) コラム5 デジタル権威主義における統治とリーダーシップ(大澤傑) コラム6 SNS時代の世論操作(小林哲郎) 【各章・コラム執筆者】 三浦まり 上智大学法学部教授 申キ榮 お茶の水女子大学人間文化創生科学研究科教授 馬場香織 東京大学大学院法学政治学研究科教授 西岡晋 東北大学大学院法学研究科教授 井関竜也 東京大学社会科学研究所助教 日下渉 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授 小松志朗 山梨大学大学院総合研究部准教授 安中進 早稲田大学社会科学総合学術院准教授 山本達也 清泉女子大学学長 左高慎也 名古屋大学ジェンダーダイバーシティセンター特任助教 大澤傑 愛知大学国際コミュニケーション学部准教授 小林哲郎 早稲田大学政治経済学術院教授
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教育の不平等をめぐっては多くの研究・議論が行われてきた。だが、今なお解決には程遠い。その理由は、日本人の認識枠組みにあり、意味が曖昧なまま外来の流行語・翻訳語を使うため、議論がすれ違うのだと著者は説く。「大衆、機会均等の語義は原語と訳語でどう違うのか」「階級より階層、不平等より格差の語が使われる理由」など、鍵概念を手がかりに日本社会の思考の習性を探る。日英で教鞭を執る著者の比較知識社会学。 まえがき 教育論議は饒舌なのに、なぜ問題は解決しないのか 1章 「教育格差」論議の比較知識社会学 1 問題の所在 不平等に対する日本の向き合い方/実態把握の進展/政治や行政、私たちの認識を問う 2 「知識」は社会的に構成される 知識社会学とは何か/教育の現場や政策関係者の「常識」 3 比較知識社会学の試み 日本語は翻訳語でできている/「濾過の過程の見落とし」/輸入学問としての社会科学 4 「大衆教育社会」という経験 「大衆教育社会」とは何か/戦後日本の言説小史/「大衆」「能力主義」「格差」……/本書が取り組む課題 2章 「大衆」ーー生まれた時代と現代 1 大衆の発明 「大衆」の比較知識社会学/「大衆」という言葉を発明した男/工業化・都市化と普通選挙法/一向に明瞭でない正体/新奇性ゆえの流行 2 西洋における「大衆」概念 オルテガの大衆論/英国のmassの歴史/総力戦体制下における「国民化」 3 戦後日本の「大衆」「大衆社会」 1950年代の論争/西部邁の「高度大衆社会」論/大衆にまつわるネガティブさ/2章のまとめ 3章 「大衆化」ーー曖昧にされたエリートvs.マス 1 大衆教育とは何か?ーー戦前という前史 8割を占めた小卒者への教育/戦前教育学の重鎮の認識 2 強制的均質化と大衆教育 山之内靖の総力戦体制論/野口悠紀雄の1940年体制論/戦時の教育改革を率いた阿部重孝 3 「階級」の欠落 高校教育の大衆化/教育社会学の泰斗が見た60年代/トロウの発展段階論/第一人者による意訳/階級とmass higher education/曖昧化の作用/3章のまとめ 4章 「機会均等」ーー原語 “opportunity” との決定的違い 1 開かれた機会(opportunity)の信仰 教育を重視したブレア政権/「第三の道」とは何か 2 アメリカにおけるopportunity 19世紀のアメリカン・ドリーム/アメリカ公教育の思想基盤/コモンスクールの思想 3 日本語の(教育)機会の均等 「機会」とは何か/均等と平等の違い/日本の消極性・形式主義/戦後の機会均等/高校教育と高等教育の「機会均等」/トロウ論文が示すopportunity概念 4 「試験」が教育と成功を媒介する 立身出世の日米比較/試験という媒介項/4章のまとめ 5章 「格差」と「不平等」ーー「階級」でなく「階層」を使う功罪 1 メリトクラシー理解の日英比較 メリット=知能+努力の謎/階級社会とIQ/頑迷な誤謬/11歳の試験イレブン・プラス 2 日本における能力主義と知能、努力 努力主義をめぐって/知能検査への不信感/努力と適性(知能・素質)/能力主義の日本的理解の特徴 3「階級」の消長 戦前の階級意識と階級概念/「階級」という言葉の消去/戦後日本のマルクス主義/絶対移動と相対移動/「一億総中流社会」の階級意識/ギデンズとサヴィジによる階級概念 4 学校化された能力主義 ヤングのブレア批判/大衆ー努力の意味連関/非認知的能力ブームの落とし穴/サンデルが提示した尊厳の問題/5章のまとめ 6章 「大衆教育社会」という経験 1 「大衆教育」から教育の「大衆化」へ 教育と平等をめぐって/教育の量的拡大と「大衆化」 /高度成長期と擬似的な動員/国庫負担制度が果たした役割/「一億総中流社会」イメージの形成 2 格差社会と教育改革の語られ方 小泉政権と新自由主義改革の時代/「頑張れば誰でも」の強調/メリトクラシーの大衆化と「公平さ」の誤認/詰め込みから個性重視へ/融通無碍な曖昧さ 3 曖昧さの入れ子構造 なぜ有効な手立てが打てないのか/日本語の概念、原語の概念/隠れた曖昧さ/ブルデューの文化資本概念と日本/日英で異なる社会への訴求力/言葉の力を鍛えなおす
終わりが見えないウクライナ戦争にガザ戦争。トランプ大統領の再選で、自由・平等を基盤とする民主主義がゆらいでいる。ヨーロッパにおける右派勢力の躍進から、選挙のたびに民主主義に亀裂が入っているように見える。社会の現状を的確に分析し、普遍的な価値の意義と日本の取るべき道を問い直す、実践社会学講義。
かつて一億総中流といわれた日本。 いまや格差が広がり、社会の分断も進んでいる。 人生が親ガチャ・運しだいでよいのか。 能力主義は正しいか。 そもそも不平等の何がわるいのか。 日本の「失われた30年」を振り返り、政治哲学と思想史の知見から世界を覆う不平等に切り込み、経済・政治・評価上の平等を問いなおす。 支配・抑圧のない、自尊を下支えする社会へ。 財産が公平にいきわたるデモクラシーの構想を示す。 ■目次 はじめに 第1章 不平等の何がわるいのか? 本書の特徴 前口上ーーなぜ平等・不平等を考えるのか 不平等から考えるーー不平等に反対する四つの理由 1剥奪ーー貧窮ゆえの苦しみ 2スティグマ化ーー傲りと卑屈、そして差別 3不公平なゲームーー人生の難易度の変化 4支配ーー非対称的な関係の固定化 みえやすい不平等・みえにくい不平等 窮民問題ーー貧困にあえぐ社会 寡頭制問題ーー少数が牛耳る社会 健康格差問題ーー寿命が短い社会 第2章 平等とは何であるべきか? 平等を支持する四つの理由 1生存・生活の保障ーー充分主義 2恵まれない立場への優先的な配慮ーー優先主義 3影響の中立化ーー運の平等主義 4支配関係がないことーー関係の平等主義 平等の要点ーー「局所的な平等化」をこえて 三つの不平等の区別ーー差別・格差・差異 格差原理と(不)平等 差異ゆえに平等 第3章 平等と能力主義 アファーマティブ・アクション AAーー五段階の規範 正義と能力主義 公正な能力主義はゴールか? 能力の測定問題とガラスの天井問題 能力主義の専制 正義と功績をいったん切り離す 機会の平等を見直すーースキャンロンの三段階モデル まとめーー財産所有のデモクラシーへ 第4章 経済上の平等ーー社会的なもの 『21世紀の資本』のインパクトーーr>g 『資本とイデオロギー』ーー格差はつくられたものである アンダークラスの出現 財産所有のデモクラシー1ーー社会的なもの 日本型福祉社会の問題 事前分配・当初分配 人的資本のストック 職場環境の正義 ベーシック・インカム タックス・ジャスティス 第5章 政治上の平等ーー共和主義 誰が統治するのかーー政治家のキャリアパス なぜ世襲政治家は多いのか 経済力の政治力への転化 徒党の発生をいかに防ぐか 財産所有のデモクラシー2ーー共和主義 政治資金規制とメディア宣伝 パブリック・シングスーー公共性のインフラ 公共財としての仲介機関ーー政党とメディア 政治バウチャー クオータ制 ロトクラシーーーくじ引き民主制 第6章 評価上の平等ーー複数性 絶望死、遺伝と能力 時間どろぼうーーエンデ『モモ』 財産所有のデモクラシー3ーー複数性 自尊の社会ーー配達員の仮想演説 評価集団の多元化ーー複合的平等 正義と多元性 財産と富 〈自分自身〉であるためのデモクラシー 「自己の内なる体制」 おわりにーー平等についての六つのテーゼ あとがき 注記一覧 図版出典 参考文献 読書案内
「積極的差別是正措置」と訳されるアファーマティブ・アクション。入試や雇用・昇進に際して人種やジェンダーに配慮する取り組みだ。1960年代、公民権運動後のアメリカで構造的な人種差別解消のため導入されたが、「逆差別」「優遇措置」との批判が高まる。21世紀には多様性の推進策として復権するも、連邦最高裁は2023年に違憲判決を下したーー。その役割は終わったのか。アメリカの試行錯誤の歴史をたどり考える。
かつて不平等を批判することは、左翼的で、非現実的な主張とみなされてきた。しかし、現在では、「不平等の拡大は成長と進歩のために必要」としてきた新自由主義的な国の政府やIMFなどの国際機関も、考え方を改めている。不平等の放置は、不正義であるばかりか、経済成長を阻害し、環境問題への取り組みを妨げる「公共悪」として認識されるようになったのだ。しかし、歴史を見れば明らかなように、認識が変わっても、政府はそう簡単には動かない。政府の重い腰を上げさせるには、市民からの突き上げが不可欠なのだ。
新型コロナワクチン接種の大混乱 緊急事態宣言下での東京オリンピック強行 拡大し続ける経済格差、公平じゃない消費税、 勘違いした多様性ーー偽りの「公平」から目を背けるな! 『ホンマでっか!? TV』でおなじみの生物学者・池田清彦が説く、 不平等な現実に向き合う知恵と教養 新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり大混乱が起きた。 同じ高齢者でも具体的に誰から打つのかに頭を無駄に悩ませ、 接種態勢を整えるのに時間を要する自治体が続出したからだ。 また、かつて東日本大震災の被災地支援で毛布を用意したにもかかわらず、 避難所のすべての人に届かないからと配布を取りやめたことがあったそうだ。 いずれも平等にこだわるあまり、非合理極まりない事態に陥っていたのである。 こうした事例を挙げるまでもなく、社会を見回すと平等に拘泥するあまり 非効率なことが起きる事例が蔓延している。 拡大し続ける経済格差、公平ではない消費税、 「多様性」を謳いながら平等に縛られる学校教育の現場はどうか? 恣意的に「平等」を使って国民を騙す行政は大問題だが、 国民の側にも「平等が何より大事」という思い込みがあるのではないか? 日本を覆う「平等が正義」という空気の本質をあぶりだす一冊。 「時にはあえて平等を選択するのが必要なケースはもちろんある。 ただし、しつこく上っ面の『平等』だけを追い求める 『平等バカ』の先にあるのは、実は『不公平』であり、 時としてそれはより深刻な格差にもつながるのである」 (本書「はじめに」より) ●完全な公平を求めるのは非現実的である ●平等バカの根っこにある「嫉妬羨望システム」 ●消費税は「広く公平に」課税されてなどいない ●平等に働いても賃金は不平等になる理不尽 ●平等な授業が落ちこぼれをつくる ●表面的なジェンダー平等ではむしろ生きづらい ●新しい資本主義には頭脳の多様性が欠かせない ●「決める政治」がはらむ独裁のリスク ●脱「平等バカ」は、自分の頭で考えることから……etc.
●第1章 今の世界に至る道 19世紀〜1970年 ・日本の戦後レジームからの脱却・グローバル経済へ・極端に分離する階層・身分制と不平等・新自由主義が社会を再組織していく・自由と管理の反転・アメリカにネオナチがいる・ヨーロッパと第一次大戦・国際連盟とILО・第二次大戦とフィラデルフィア・ド・ゴールと移民世代・EUとフランス・ル・ペンの国民戦線・フランス・ファースト・国民の解体と再接着・人権と身分制社会 ●第2章 アメリカの大転換 90年代末〜対テロ政策へ ・アメリカという特殊形態・モンロー主義とアメリカの「解放」・『すばらしい新世界』・「例外国家」のスタンダード化・アメリカの標準化とネット・アドレス・アメリカ・バイアス・テクノ支配と一代成金・白人の不満と被害感情・平等と「差別」、「本音」を煽るトランプ・偉大な中国・征服王朝と中国・オランダとイギリスのヘゲモニー・帝国と平和・武器を売るアメリカ・ポスト・トゥルース・人権を求めて・西洋だけでなく世界にも・自由と平等は独り舞台 ●第3章 日本と朝鮮半島 ・米朝会談が不満・こじらせる近隣関係・日本に三権分立はない・問われなかった戦争責任・冷戦後と歴史修正主義・拉致問題と歴史没却の勝利・朝鮮半島ではどう思っていたか・なぜ北朝鮮は核を持つのか?・ベルリンの壁崩壊とドイツ統一・北の自立、南に呑まれないために・対米核武装の成功?・軟着陸のためには・悪い国でいてもらわないと困る・日本敗戦後の朝鮮半島統治 ●第4章 日本の明治一五〇年 ・西洋の世界展開と日本の参入・戦争で認知される・敗戦の世界史的意味・無条件降伏と自発的隷従・正当性の論理・民主制と交渉の主体(外交)・翻訳語をつくる・翻訳する独特の日本・日露戦争から国際連盟へ 逆のドライブ・一世一元制・天皇の権威・「…名において」治める・なぜ元号に固執するのか・時代意識の造形・政治と宗教の区別・義勇兵起源ではない・独自権力になっていく軍部・装置としての天皇制・近代化の流れと逆行していく・戦後のフィラデルフィア宣言・農地改革でつくられた基盤・占領下の改革の受け止め方・西洋的価値は絶対か・冷戦の終わりと市場開放・なぜ「新」自由主義なのか・平成の三〇年で起きたこと・あらゆるものを市場化する・国策としての新自由主義・神道国家派の大攻勢・米軍と一体化する自衛隊・自由の底が抜けている・失われた三〇年で何を失ったか ●第5章 現在の日本と世界のこれから ・西洋的世界の変質・国、政治、経済・民主、平等、自由・連携における自立・人権のない存在、テロリストの発明・フランスとアメリカの歴史否認・日本では民主主義がいらなくなっている・ポイント・オブ・ノーリターン・「身分制のほうがいいんじゃないか」
この日本社会で実際に選択できる「生き方」の間には、収入やジェンダー、年齢によって著しい不平等がある。子ども、若者、勤労者、高齢者というライフステージごとに、そうした不平等の実態とその原因について、数々のデータを用いて考える。そして、そこから脱却する道を「お互いさまの社会」の創造に見出してゆく。
この二〇年あまり、多くの国で格差の拡大が進んだ。経済は停滞し、国家の再分配政策も機能していない。そうしたなか、所得の低下に苦しむ人々の不安や怒りが、政治を大きく動かし、社会の分断をさらに深めている。いま、この不平等の問題を克服するためにどう考えればいいのか。本書では、私たちが尊重すべき「平等な関係」とは何かを根底から問いなおし、そうした社会を可能にするための制度を構想する。カント、ロールズ、セン、ハーバーマスらの議論を糸口に、現代の最難問にいどむ、政治思想の新たな基本書。
名だたる大企業や著名人がタックス・ヘイブン(租税回避地)を利用して“合法的”脱税を行う実態を白日の下にさらした「パナマ文書」。それが示したのは、あまりにも不公平で一方的な富の収奪の世界だった。諸国民の税により築かれたインフラを利用し巨額の利益をあげながら、ほとんど納税しない大企業や富裕層の存在。租税を回避する巨額の富に対していかにして課税できるか? グローバル税制の考え方と仕組み、そしてその可能性を示したのが本書である。環境問題から貧困問題まで、これらを一挙解決できる財源は、ここにある。【目次】はじめに/第一章 パナマ文書の衝撃/第二章 富の偏在を可視化すること/第三章 グローバル・タックスの可能性/第四章 グローバル・タックス実現のためのステップ/第五章 政治と現実を動かすために/第六章 グローバル・ガヴァナンスーーEUの夢/おわりに 不平等と戦う人々/あとがき
「ピケティが示した不平等の歴史的な展開を、さらに歴史的に俯瞰する。格差論の未来のために!」 ーー『21世紀の資本』共訳者・山形浩生氏 推薦 フランスの経済学者トマ・ピケティによる大著『21世紀の資本』が公刊されたのは2013年。その後、ノーベル経済学受賞者のスティグリッツやクルーグマンらの推薦もあって英訳から火がつき、またたく間に世界的にベストセラーになりました。 どうして大ブームになったのでしょうか? 実は下地ができていました。高度成長を終えた先進国のなかで、ピケティしかり、日本の「格差社会」「大衆的貧困」ブームしかり、明らかに「不平等ルネサンス」とでもいうべき学問的潮流が起きていたのでした。 それでは一体いつ、経済学者たちの「不平等との闘い」は始まったのでしょうか? 本書では、ピケティ的な意味での「市場経済の中での不平等(所得や資産の格差)」に焦点を絞り、その歴史を紐解きます。 18世紀にフランス革命の思想的後ろ盾となった、ジャン=ジャック・ルソーと、そして“神の見えざる手”で知られるアダム・スミスから議論を始め、マルクス経済学、近代経済学、不平等論議の新しいステージ「不平等ルネサンス」、そして現代のピケティにいたるまでの学問的軌跡を追っていきます。