#戦後 の新書一覧

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大江健三郎を読む 文学と歴史の複眼的視点から

大江健三郎を読む 文学と歴史の複眼的視点から

小森陽一/成田龍一/長瀬海

集英社/2026-08-07

ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ虐殺、アメリカによるベネズエラ・イランへの攻撃…戦後80年が過ぎ、世界はいままた大戦の空気に包まれつつある。日本も例外ではない。大江健三郎は「戦争」と「戦後社会」について発信し続けた作家である。1973年には「新しい戦前」という言葉で核時代の危機を指摘するなど、政治や戦争、世界の欺瞞と向き合ってきた。その大江の作品を文学者・小森陽一と歴史学者・成田龍一が相互の視点から読み解き、戦後体制、日米関係、核、憲法改正といった、現在我々が直面している危機の本質を探る。

軍都を歩く 基地と住民の地域生活史

軍都を歩く 基地と住民の地域生活史

清水亮

中央公論新社/2026-07-23

軍事施設が置かれた街・軍都。 東京から徐々に郊外、地方へと列島各地へ拡散した。 軍隊は地域に被害と便益をもたらすが、本書は善悪を超え、身近に基地がある日常の複雑な現実を生活者の目線から描く。 下宿先との親交、料亭での大騒ぎ、弾丸を拾う子ども…… 当時の記憶は、戦後の自衛隊誘致やまちづくりにつながる。 藤沢、新宿大久保、霞ヶ浦から呉・江田島、南西諸島まで。 学術研究の上に現地取材を加え、現代社会を照らす歴史まちあるき。 はじめにー列島津々浦々に軍都あり 序章 軍用地の分散化の近現代素描 旧城郭の軍都/郊外に拡大する多様な軍用地/「新型軍都」の建設/地方軍用地の戦中戦後の連続性/自衛隊のアウトリーチ/経済成長と補償型政治/分散化の帰結/基地を受容する文化/まちかどの地域生活史 第一章 湘南海岸に眠る海軍と米軍の記憶〈神奈川県藤沢市辻堂〉 地図に見出す旧軍用地/横須賀海軍砲術学校の演習場/民家への分宿/利益を伴う交流/藤沢の軍都化/幻の東京侵攻作戦/SFCで米軍を迎撃/旧軍用地の開拓/米軍演習場チガサキ・ビーチへ/大惨事となった駅の爆発事故/冷戦下の上陸訓練/不発弾暴発による子どもの犠牲/高まる返還運動/背景としての住宅地化/湘南はマイアミに、米軍基地は沖縄に/基地県としての神奈川 コラム・歴史の歩き方1 街の歴史調査インフラを活用する 第二章 公園化する演習場〈軍都東京・新宿戸山ヶ原〉 軍都新宿の群像劇/皇居周辺から西への分散/演習場は遊び場/屋内射撃場/怪人二十面相の隠れ家/子どもたちにとっての戸山ヶ原/不気味な科学研究所/軍人の街/東京名所/軍用地が自然を残す逆説/文人が愛した戸山ヶ原/空襲から逃げる/避難場所としての演習場/現在の戸山を歩く/演奏場から演劇場へ/戦後も遊び場に/まちかどに残る痕跡 コラム・歴史の歩き方2 生の声と文字の声を聴く 第三章 「空都」と自衛隊のスペクタクル〈茨城県・霞ヶ浦〉 土浦市の飲食店に残る歴史/飛行場建設業者/飛行機と花火のスペクタクル/国際交流さかんな「空の港」/航空隊は観光地/歓楽街の今昔/「海軍さん」の「芋掘り」/「空都」の英雄礼讃/戦争下の花火大会/軍隊による水害救援/屏風に描かれた等身大の心情/占領期の秘話/「空都」から学都へ/自衛隊誘致による復興への期待/御用商人と軍艦マーチ/自衛隊のパレード/埋没する経済効果/戦後も水害救援 コラム・歴史の歩き方3 自転車で土地の歴史をつかむ 第四章 旧軍都の平和都市と海軍・自衛隊の街〈広島・呉・江田島〉 歴史の最先端としての現在/広島の隣町には自衛隊/軍都広島の郷土部隊/ヒロシマの自衛隊パレード/軍港観光地・呉/市・商工会議所・自衛隊の三位一体/「平和産業港湾都市」か「軍港」か/製鉄所跡地を防衛拠点に/南西シフトとの関連/海軍・海自の町を歩く/江田島の海軍兵学校生徒/倶楽部とは何か/家につまった思い出/蜜柑と子馬/「下宿あります」ー戦後も続く交流/軍人と御用商人の娘の結婚 コラム・歴史の歩き方4 軍用地をつなぐ道ー国道一六号線・国道五八号線 第五章 過疎化のなかの自衛隊誘致〈沖縄県八重山・与那国島〉 南西シフトの現場/台湾が見える日本最西端の島/巨大墓/空襲/マラリア被害/各集落の真新しい官舎/密貿易の繁栄から過疎化へ/国際交流と自衛隊誘致/自衛隊=企業論/住民投票/賛否の背後にある声/配備後の細やかな配慮/コミュニティ活動の担い手/移住者としての自衛隊員/日米共同訓練/ミサイル配備計画の衝撃/島外避難計画 コラム・歴史の歩き方5 碑を読み解く 終章 歴史のフィールドワーク ギャップに驚く/日常の空気感に分け入る/軍事化と都市化/見慣れたものと不気味なもの/身体知としての歴史/街を歩いて歴史に浸る

大論争 この国の守り方 戦後日本の戦争論

大論争 この国の守り方 戦後日本の戦争論

片山杜秀

文藝春秋/2026-07-17

戦後知識人は今よりずっと国防に熱かった! 日本は生き延びられるのか? 反核か核武装か? 戦後憲法をどうする? アメリカは頼れるか?  いまにつながる論点は、すべてここにある! 敗戦後の日本の最大の課題は「安全保障」だった。東西冷戦のなか、軍備放棄、平和憲法に始まり、講和条約、安保闘争、核武装論、そしてアメリカとの対峙ーー。最高の知性たちが戦わせた白熱の論議から、いまに通じる論点を取り上げる。緊迫度を増す現代にこそ読み返したい「日本人の選択」。 第一章 全面講和か多数講和か 「八紘一宇」を裏返した南原繁 福沢イズムのリアリスト小泉信三 第二章 軍隊と捕虜の体験から 「異端者」の目で日本軍を告発した山本七平 捕虜・会田雄次がみた「西洋という野蛮」 第三章 「核の選択」をめぐって 「死にたくない」反安保の旗手清水幾太郎の「変節」 「戦後の風潮」を撃ち続けた福田恒存の「滅亡論」 第四章 アメリカとどう向き合うか NOと言い続けた「反抗児」石原慎太郎 江藤淳が拒否した「ごっこの世界」 第五章 「核兵器反対!」はどこが欺瞞か? 終末に魅せられた「平和主義者」大江健三郎 吉本隆明は高度資本主義に賭けた

天皇への敗北ーシリーズ哲学講話ー(新潮新書)

天皇への敗北ーシリーズ哲学講話ー(新潮新書)

國分功一郎

新潮社/2026-04-17

公布から80年、今こそ日本国憲法を本気で考える。憲法をめぐって紡がれた物語は、国民に浸透しつつも、第二次安倍政権下で危機に直面する。その時、立ちはだかったのは意外な“存在”だったーー。「天皇への敗北」はなぜ起きたのか? その理由を、30年前に物議を醸した「敗戦後論」、昭和の憲法学者と文人の抵抗、戦争責任まで遡って探る。戦後憲法学の試みを近代文学に準え、複雑に絡み合う「天皇・憲法・戦後」の核心に迫る。

クイズの戦後史

クイズの戦後史

徳久倫康

平凡社/2026-04-17

クイズはいつから日本にやってきて、背景には社会のどんな変化があったのか? 「競技クイズ界最強の男」が贈る、クイズ史の決定版。

日本社会党 「戦後革新」とは何だったのか

日本社会党 「戦後革新」とは何だったのか

福永文夫

岩波書店/2026-03-25

日本国憲法の制定と日本社会党の有力政党化は,戦後政党政治を象徴する二つの特徴である.社会党は護憲と安保反対を主張,長く野党第一党として自民党に対峙したが,時代の変化,党内の左右分裂に苦しみ続けた.やがて冷戦の終焉とともに衰退し,党名も失われる.「戦後革新」とは何だったのか.もう一つの戦後政治史を紐解く.

彼女たちの「戦後」 12人の肖像

彼女たちの「戦後」 12人の肖像

山本昭宏

岩波書店/2026-03-25

戦後日本を女性たちはどのように生きたのか.黒柳徹子,土井たか子,田辺聖子,吉永小百合など,男性優位の社会に多くの女性たちの声を媒介し,支配的な価値観に風穴をあけてきた一二人の女性たち.日々紡がれた〈文化としての民主主義〉の諸相を描き,男性中心の戦後史の語りを読みかえる.雑誌『世界』の連載に大幅加筆.

アルジェリア戦争 フランスと戦後世界をつくった植民地独立闘争

アルジェリア戦争 フランスと戦後世界をつくった植民地独立闘争

黒田友哉

中央公論新社/2026-01-22

東西冷戦下、第三勢力台頭の機運を背景に激化した植民地独立闘争、アルジェリア戦争(1954〜62年)。 フランスは兵力を増派して鎮圧を図るも成功せず、巨額の戦費による財政難、国内政治の行き詰まりで第四共和制が崩壊した。ドゴール政権は難局を打開すべく、強硬路線を転換し、ついに独立を承認する。 約8年に及んだ戦争はフランスと国際社会に何をもたらしたのか。今日の移民問題にも密接に関わる歴史的事件を見直す。 ■本書の目次 まえがき 序章 戦争前史 オスマン帝国以前/オスマン帝国の支配/フランス占領の開始/アラブ民族主義との結合/カビリーの蜂起/アルジェリアでの同化政策/第一次世界大戦の影響/両大戦間期とENAの登場/第二次世界大戦 第一章 独立戦争の開始 「赤い万聖節」/アッバースの反応とFLNへの接近/独立運動の国際化の始まり/バンドン会議とアジア・アフリカの連帯/ナセルの登場とマグレブの参加/バンドン会議の短期的影響/強硬路線とヨーロッパ統合構想との交錯/アルジェリア強硬路線への回帰/ドゥフェール海外領土相と植民地の将来 第二章 アラブ諸国の参戦とドゴール復帰 スエズ危機・戦争とアルジェリア問題の連関/スエズ危機・戦争のインパクトとその背景/危機から戦争へ/ハンガリー動乱と「二重の危機」/英仏連合・FTA構想の興亡/スンマム会議からアルジェの戦いへ/拷問、検閲、監獄、収容所/モレ政権崩壊とアルジェの戦いの終結/マグレブの国境紛争/サキエト事件と英米の調停/ドゴールの召喚/アルジェでのコロンによるクーデター/ドゴールの首相就任 第三章 戦場の拡大と膠着 戦場の本国への拡張/FLNによる本土でのテロ攻撃/ドゴール外交の始動/GPRAの成立/ドゴールのアフリカ政策の展開/コンスタンティーヌ・プランの発表/「勇者の平和」提案/ドゴールの大統領就任演説/EECの救済とアルジェリアの包摂/シャル計画の開始 第四章 自決の承認から停戦交渉の模索へ ドゴールの「自決演説」/自決演説の意味/ムランでの休戦交渉の「失敗」/知識人たちのアルジェリア/国連での反植民地主義の高まり/OASの台頭 第五章 エヴィアン交渉 外交舞台/主要な争点/軍事面での争点/外交交渉での取引/交渉妥結の構造的要因/アラブの連帯、ヨーロッパの連帯/国連の圧力 第六章 和平協定の締結 エヴィアン協定における「独立」/脱植民地化の波の中で/脱植民地化の流れへの影響/フランス外交への影響/フランス外交戦略の変化/中東政策の変化/停戦からアルジェリア独立へ/ドゴール暗殺未遂事件/憲法採択とベンベッラ政権の発足 終章 アルジェリア戦争は何を遺したのか 休戦交渉以前/休戦交渉以後/独立後のフランスーアルジェリア関係/第三世界の雄との「対決」/ミッテランの登場と「ユダヤ例外主義」/「危機の一〇年」/シラクによる戦争の承認/記憶をめぐる闘いの終焉?/惨劇を繰り返さないために あとがき 参考文献

戦後史1945-2025 敗戦からコロナ後まで

戦後史1945-2025 敗戦からコロナ後まで

安岡健一

中央公論新社/2025-11-20

アジア・太平洋戦争による壊滅から経済大国化し、不動の国際的地位を築いたものの、「失われた30年」で低迷する日本。豊かにはなったが、所得や地域間の格差、世界の“最先端”を行く高齢化、少子化など「課題先進国」とも呼ばれる。本書は、この戦後日本の軌跡を描く。特に東アジアとの関係、都市と農村、家族とジェンダーといった、大きく変貌した関係性に着目。マクロとミクロの両面から激動の80年を描いた日本現代史。

太平洋戦争と銀行 なぜ日本は「無謀な戦争」ができたのか

太平洋戦争と銀行 なぜ日本は「無謀な戦争」ができたのか

小野圭司

講談社/2025-11-19

【読み始めたら止まらない!誰も知らない「戦争経済史」】 植民地経営から戦費調達、敗戦後の「清算」までーー 満洲、台湾、朝鮮、樺太、本土を、バンカーたちは決死の覚悟で駆けめぐっていた! 驚きのエピソード満載! お金から「戦争のからくり」を解き明かす。 国破れてバランスシートあり…… 銀行員たちの血と汗と涙の奮闘記! 「本書では戦時銀行体制の中でも少し視点を変えて、「舞台裏」に焦点を当てる。 この「舞台裏」は多岐にわたる。地理的な場合もあれば、制度的、さらには業務的な周辺部分もある。具体的には植民地や占領地での銀行業、硬貨の造幣や紙幣の印刷、また現金の確保や輸送、銀行店舗の閉鎖・避難などだ。道草として、戦後の占領軍経費負担にも目を向けてみたい。 銀行員たちは勝利を信じて軍を支え、敵に追われながら軍の金庫番も務め上げた。そして終戦を迎えると、戦争で途方もなく膨らんだ有形・無形の負債の清算を余儀なくされる。彼らは敗北が明らかになっても、「信用維持」という銀行業に携わる者としての矜持を手放さなかった。さすがのアインチヒも、そこまでは思いもよらなかったであろう。 あちらこちらに散在する断片的な物語を繋ぎ合わせると、戦時に「国力の水増し」を担った銀行体制の新しい輪郭が浮かび上がる。この姿を辿りながら八〇年前の戦争、そして戦後を振り返ってみることにする」ーー「まえがきーー国力水増しの舞台裏」より 【目次】 序章 風雲高まる 第一章 戦時の外地銀行ーー昭和一九年まで 第二章 本土決戦と金融機関ーー昭和二〇年七月まで 第三章 長い夏が始まるーー昭和二〇年八月 第四章 日本の一番長い日ーー昭和二〇年八月一五日 第五章 戦争の後始末 終章 諸行無常と万古不易

管理職の戦後史 栄光と受難の80年

管理職の戦後史 栄光と受難の80年

濱口桂一郎

朝日新聞出版/2025-11-13

働き方改革から取り残され、部下の仕事まで背負い込んで長時間労働に苛まれる現代の管理職。しかし、管理職をめぐる議論は過去にも様々な形で繰り返されてきた。「罰ゲーム」「無理ゲー」といった議論が流行している今、戦後日本で管理職が経験してきた波瀾万丈の歴史をたどる。

日本のバス問題 高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ

日本のバス問題 高度成長期の隆盛から経営破綻、再生の時代へ

佐藤信之

中央公論新社/2025-09-19

電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載 公共交通の最後の砦・バス。しかし現在、あちこちで減便や路線の廃止、さらには会社の清算が相次いでいる。なぜこのようなことになってしまったのか。本書は日本におけるバスの誕生に始まり、戦後のモータリゼーションとその対抗策として生まれた様々なサービスを解説する。さらに既存バス会社の保護から規制緩和へという流れと、新たに生まれた独創的なバス会社も紹介。日本のバス事業の課題と将来を展望する。 □■□目次□■□ はじめに 第1章 現在のバス業界の問題 1 危機に立つバス事業の現状 2 コロナと2024年問題で運転士不足に 3 全国的にバスが減便 コラム バスの運転免許 第2章 高度経済成長期までのバス事業史 1 バスの誕生 2 戦後のバス事業規制 3 道路運送法の制定 コラム 戦後復興とトロリーバスの普及 コラム バス事業の種類 法律・制度 コラム ボンネットバスからリアエンジンバスへ 第3章 モータリゼーションの進行ーー昭和40年代 1 モータリゼーションとは 2 公共交通側の問題 3 バス事業の動向 コラム バス事業の種類 実際 コラム バスの乗り方 第4章 オイルショック後のバス事業ーー昭和50年代 1 昭和50年代の取り組みーーバス事業の転換点 2 大都市近郊地域の路線バス 第5章 都市バス路線の1980年と現在の比較 1 市内線未分化ーー第1段階・横手市/今治市 2 市内線の拡充ーー第2段階・唐津市 3 市内線の面的な拡大ーー第3段階・岐阜市 4 大都市におけるネットワークーー第4段階・岡山市 第6章 昭和60年代〜平成初期ーー規制緩和以前 1 都市バス整備の新制度 2 公営バスの民営化 3 コミュニティバス 4 今日的な政策課題ーーバリアフリー政策 5 環境政策の進展 第7章 新自由主義的交通政策と規制緩和 1 規制緩和の考え方 2 規制制度の変化 3 規制緩和による高速バスの新規参入 4 ツアーバス形態による参入 5 都市路線への新規参入 6 住民主体の路線バス 7 都市内バスの再編とBRT コラム バスの大きさ 第8章 経営破綻と再建 1 産業再生機構による再建 2 企業再生支援機構による再建 3 企業再生支援機構・地域経済活性化支援機構による再建 第9章 これからのバス 1 競争から協調へ 2 MaaSを構成する新技術 3 自動運転バスの開発 4 さまざまな自動運転バス 終章 路線バスは社会的ベーシックサービスである

「戦後」の終焉 80年目の国家論

「戦後」の終焉 80年目の国家論

保阪正康/白井聡

朝日新聞出版/2025-08-12

日本は敗戦後、国の主体「国体」は天皇から米国に変わったのだろうか。80年間、戦争はなかったものの米国への従属性は深まった。誰が「悪者」なのか? 吉田か中曽根か、小泉か安倍か、それとも……今、日本の危機とは何か。昭和史研究の第一人者・保阪と気鋭の政治学者・白井が白熱討論を繰り広げる。

世界は団地でできている 映画のなかの集合住宅70年史

世界は団地でできている 映画のなかの集合住宅70年史

団地団/大山顕/佐藤大/速水健朗/稲田豊史/山内マリコ/妹尾朝子

集英社/2025-08-08

戦後の住宅インフラを支えてきた団地。日本においても、戦後すぐは先進的な生活の象徴として、現代では20世紀へのノスタルジーの対象として、70年以上にわたってあらゆる世代の人びとがこの集合住宅に想いを託してきた。そうした時代の流れは団地が登場するフィクション=「団地作品」にも反映されている。 本書では15年にわたって団地作品について語るイベントを50回開催してきた集団=「団地団」が、団地作品の歴史を通覧。社会、風俗、家族、ジェンダー、創作などさまざまな観点から、戦後社会の変遷とフィクションの役割を考える。 【著者略歴】 団地団(だんちだん) 団地トークユニット。2010年結成。ライター・編集者の稲田豊史、写真家の大山顕、脚本家の佐藤大、漫画家の妹尾朝子(うめ)、ライター・編集者の速水健朗、小説家の山内マリコが中心メンバー。著書に『団地団 ベランダから見渡す映画論』(キネマ旬報社)。2025年3月12日から8月24日にかけて高島屋史料館TOKYO 4階展示室で「団地と映画ーー世界は団地でできている」を開催。

大田昌秀ー沖縄の苦悶を体現した学者政治家

大田昌秀ー沖縄の苦悶を体現した学者政治家

野添文彬

中央公論新社/2025-07-23

沖縄戦で鉄血勤皇隊として死線を彷徨い、戦後は早稲田大学、米国に留学、琉球大学で沖縄戦・沖縄学の教鞭を執った大田昌秀。米統治下から論壇で活躍し、1990年、知事当選後は米軍基地問題と対峙する。  冷戦終結後の新たな日米関係が求められる中、米兵による少女暴行事件が勃発。高揚する民意と日本政府との間で解決を模索するが、3度目の知事選で敗北する。  100冊以上の自著で沖縄の苦悩を記し、沖縄現代史と共に歩んだ生涯。 はじめに 第1章 沖縄戦という原点 1 久米島の秀才 2 沖縄師範学校への進学 3 鉄血勤皇隊としての戦争体験 第2章 本土、米国への留学ーー1950〜56年 1 収容所から沖縄文教学校へ 2 早稲田大学での「日留」 本土の解放感 3 「米留」の2年間 強烈な民主主義体験 第3章 日本復帰論高揚のなかでーー琉球大学時代1 1 沖縄人意識の探究 「事大主義」問題 2 日本国憲法下への復帰支持 3 復帰論の思想的位置 「反復帰論」、進歩派との距離 第4章 復帰後、沖縄学の批判的継承ーー琉球大学時代2 1 アイデンティティの模索 復帰直後の課題 2 戦後の沖縄学 沖縄戦・占領史の追究 3 「積極的平和」への共鳴 第5章 沖縄県知事の第一期ーー1990〜93年 1 出馬の決断と勝利 少数与党の議会運営 2 軍用地強制使用問題と三次振計 3 平和行政の展開 戦後50周年への拠点づくり 第6章 沖縄からの異議申し立てーー1994〜96年 1 戦後五〇年目の「転換」を目指して 2 少女暴行事件と代理署名拒否 3 日本政府との攻防 基地返還の具体化構想 4 普天間飛行場の返還合意と苦渋の決断 第7章 大田県政の挫折ーー1996〜98年 1 橋本首相との関係 官邸主導の経済振興へ 2 失速する県政 吉元副知事の再任否決 3 普天間移設問題の迷走 4 橋本首相との断絶、知事選敗北 第8章 晩年と死 1 再び研究活動へ 2 参議院議員時代 問い続けた「沖縄とは何か」 3 沖縄独立論への傾斜 おわりに あとがき/主要参考文献 大田昌秀 略年譜

なぜ日本人は間違えたのかー真説・昭和100年と戦後80年ー(新潮新書)

なぜ日本人は間違えたのかー真説・昭和100年と戦後80年ー(新潮新書)

保阪正康

新潮社/2025-07-17

国家を滅亡の淵まで追い込んだ「あの戦争」から八〇年、同時代史として語られてきた昭和史は、これから歴史の中へと移行する。二・二六事件、東京裁判、高度成長、田中角栄、昭和天皇……時代を大きく変えた八つの事象を、当事者たちの思惑や感情を排して見つめ直す時、これまでの通説・定説とはおよそ異なる歴史の真相が浮かび上がる。いったい、日本人はどこで何を間違えたのかーー昭和史の第一人者による衝撃の論考。

戦争犯罪と闘う 国際刑事裁判所は屈しない

戦争犯罪と闘う 国際刑事裁判所は屈しない

赤根智子

文藝春秋/2025-06-20

二つの戦争、そして戦後国際秩序の行方は ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルによるパレスチナへの非人道的な攻撃。目まぐるしく国際情勢が変化するなか、この二つの戦争に向き合い、プーチンとネタニヤフに逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)。日本人として初めてそのトップに就任した著者は、ほどなくしてプーチンから逆指名手配を受けることにもなった。さらにはトランプ大統領の大統領令による経済制裁の脅威にさらされるなど、世界規模の戦争犯罪に向き合ってきた国際刑事裁判所はいま、存続の危機にある。 第二次世界大戦後にホロコーストに向き合ったニュルンベルク裁判、日本の戦争責任を裁いた東京裁判。二つの軍事法廷裁判にルーツをもち、国際平和秩序を守ろうと奮闘してきた国際刑事裁判所とはいかなる機関か。二つの戦争という異例の事態にどう向き合ったのか。「世界の警察」アメリカが過去のものになりつつある戦後国際秩序の行方とはーー。 「世界で起きていることが日本では起きないとは限らない」。「力による支配」がむき出しになりつつある今こそ「法の支配」による安全保障が必要だ。 「ウクライナ戦争の勃発で完全に覚醒した」と語る赤根さんが、その奮闘を通じて未来への責任を語りかける。 ※本書電子書籍版は刊行後の国際情勢の変化を鑑み、2025年10月に記述の一部を更新しました。

ベルリン・フィル 栄光と苦闘の150年史

ベルリン・フィル 栄光と苦闘の150年史

芝崎祐典

中央公論新社/2025-05-22

巨匠フルトヴェングラーや帝王カラヤンが歴代指揮者に名を連ね、世界最高峰のオーケストラと称されるベルリン・フィルハーモニー。 1882年に創設され、ナチ政権下で地位を確立。敗戦後はソ連・アメリカに「利用」されつつも、幅広い柔軟な音楽性を築き、数々の名演を生んできた。 なぜ世界中の人々を魅了し、権力中枢をも惹きつけたのか。150年の「裏面」ドイツ史に耳をすまし、社会にとって音楽とは何かを問う。 【目次】 第1章 誕生期ーー市民のためのオーケストラとして べルリンの音楽環境  「音楽の国ドイツ」  ベルリンのビルゼ楽団  ビルゼ楽団の危機  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の誕生  ヨーゼフ・ヨアヒムの尽力  財政危機  ビルゼ楽団のその後  初代常任指揮者ハンス・フォン・ビューロー  芸術家としての指揮者  ホールの改築  ビューローの晩年  ビューローの死 第2章 拡大期ーー財政危機から国際化へ 後継者問題  ニキシュの就任  積極的な国外演奏  オーケストラ・マネジメントの進展  世紀の「大演奏家」  オーケストラ演奏会ブーム  新しい音楽活動としてのレコーディング  財政難  第一次世界大戦  戦時中の活動  ドイツの敗戦  ニキシュの死  ニキシュの追悼とフルトヴェングラー 第3章 爛熟期ーーナチとベルリン・フィル フルトヴェングラーの就任  財政的苦境  戦後の平和と国外演奏  「新しい音楽」への取り組み  ワルターとメニューイン  新しいメディアへの挑戦  ベルリン・フィルと「現代音楽」  音楽とナショナリズムの交差  世界恐慌とドイツの変容  創立50周年とナチの影  ナチ政権の発足  「帝国のオーケストラ」  政権との距離  政権による圧力と「自律」の確保  音楽家の亡命  ドイツの対外イメージ悪化の中で  演奏史と文化政策  カラヤンのベルリン・フィルデビュー  対外宣伝装置として  「兵士に準ずる存在」として  同盟国や占領国での演奏  戦時下の演奏  空襲におびえながらの演奏会  フルトヴェングラーの亡命  ドイツの破滅 第4章 再建期ーー戦後の「再出発」 破壊され尽くしたベルリン  ソ連占領軍政府によるボルヒャルトの指名  戦後最初のリハーサル  ソ連占領軍政府の思惑  戦後最初の演奏会  英米によるベルリン・フィル獲得競争  本拠地決定 ボルヒャルトの死 チェリビダッケの指名 チェリビダッケの暫定指揮者就任  オーケストラの「非ナチ化」  フルトヴェングラーの復帰  団員の士気の低下  ベルリン封鎖中の訪英  フルトヴェングラーの意欲低下  カイロ遠征  主権回復後の新運営体制  創設70周年  訪米計画と国際政治  西ベルリン初の音楽専用ホール  フルトヴェングラーの死 第5章 成熟期ーー冷戦と商業主義の中で チェリビダッケとオケの不和  カラヤンの指名  カラヤンの来歴  常任指揮者契約  アメリカツアー  積極的レコーディング活動  シュトレーゼマンの支配人就任  フィルハーモニー・ホールの建設  オーケストラの公共性  ドイツの「和解外交」とベルリン・フィル  ザルツブルク復活祭音楽祭  音楽の「映像化」  カラヤン財団創設  ソヴィエト遠征  権威化するカラヤンとその横顔  カラヤン・アカデミー  ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭  団員との軋轢  支配人をめぐる軋轢  冷戦をまたいだ演奏活動  オーケストラ以外での団員の音楽活動  ザビーネ・マイヤー事件  カラヤン離れの模索  若干の歩み寄り シュトレーゼマン、二度目の引退  カラヤンの衰弱  CAMIスキャンダル  日本ツアーとカラヤンの「終わり」の予感  最後の演奏会  カラヤンの死 第6章 変革期ーー「独裁制」から「民主制」へ 「民主化」と指揮者選び  アバドの生い立ち  ベルリンの壁崩 壊  ホールの大規模改修  ヨーロッパ・コンサートシリーズ  チェリビダッケの再登場  「カラヤン後」のゆくえ  古典復興、現代音楽  アバドの辞任予告  「ドイツの民主主義の50年」  アバドの闘病と9.11テロ  アバドの退任  アバドの評価 第7章 模索期ーー新しい時代のオーケストラとは何か ラトルの選出  ラトルとベルリン・フィルの最初の出会い  財団法人化  支配人をめぐる混乱  ラトルの音楽作り  音楽芸術の新しい位置づけ  「レジデンス」制度の拡充  新支配人の新しい試み  映像活動  歴史認識の確認作業  デジタル・コンサートホール  ラトルの退任  ラトルの評価  パンデミックと  再び「政治」に直面 あとがき 参考文献  図版出典  ベルリン・フィル関連年表

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